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窓の解説 縦すべり窓はカムラッチ式?オペレーター式どちらが良い?

  • 執筆者の写真: 建物ラボ
    建物ラボ
  • 2024年6月3日
  • 読了時間: 6分

■ 縦すべり窓の開閉方式:縦すべり窓のオペレーター式、カムラッチ式、グレモンハンドル式

縦すべり窓は、縦方向にスライドして開閉する窓で、通風性に優れ採光を効果的に調整できるため、多くの住宅で採用されています。特にパッシブデザインにおいては、効率的な換気と自然光の取り入れを実現するために、縦すべり窓の設計は非常に重要です。ここでは、縦すべり窓の主要な開閉方式であるハンドル式とオペレーター式についてどちらにするか悩まれている人、そもそも知らない人もいるでしょう。それぞれの開閉方式のメリットとデメリットを詳しく解説します。

※当方では、少しでも風を通したいとご希望の方には縦すべり窓をお勧めしております。↓ブログ参照。






 

■ハンドル式開閉方式(カムラッチ方式)

ハンドル式は、窓のサッシに取り付けられたハンドルを手で回すことで窓を開閉する方式です。シンプルな構造で、力を加えて直接窓を操作することができます。代表的なメーカーと品種は、LIXIL製 サーモスⅡHなどが挙げられます。

また、ハンドル式開閉方式にはグレモンハンドルという方式もございます。

グレモンハンドル方式は主に高性能サッシで使用される方式です。グレモンハンドルとは、ハンドルで直接閉める方式ではなく、ハンドルを回転させるとスライダーと呼ばれるフックが移動し、障子と枠を上下で引き寄せる方式です。ですので、気密性能が確保出来るため、主に高性能サッシで使用されます。代表的なメーカーと品種は、YKKAP製 APW330などが挙げられます。

■メリット

1. シンプルな操作性:

   - ハンドルを回すだけの簡単な操作で、窓を開閉できます。特に直感的に使えるため、初めて使用する人でも迷うことがありません。

2. メンテナンスの容易さ:

   - 構造がシンプルであるため、故障しにくく、メンテナンスも比較的容易です。必要な部品が少ないため、交換や修理が簡単に行えます。

3. コストの低さ:

   - ハンドル式の窓は、オペレーター式に比べて構造が簡単であるため、製造コストが低く、結果として購入価格も安くなります。

4. デザインの自由度:

   - ハンドル自体のデザインバリエーションが豊富で、インテリアに合わせた選択が可能です。シンプルなデザインから装飾的なものまで、幅広いスタイルに対応できます。

■デメリット

1. 力が必要:

   - ハンドルを回すためには一定の力が必要です。特に高齢者や子供、力の弱い人にとっては使いづらい場合があります。

2. 開閉範囲の制限:

   - ハンドルの回転角度によって、窓の開閉範囲が制限されることがあります。完全に開けるには、ハンドルを大きく回さなければならないため、手間がかかる場合があります。

3. ハンドルの位置:

   - ハンドルが窓枠の一部として突出しているため、家具やカーテンと干渉する可能性があります。特に小さな部屋や限られたスペースでは、この点が問題になることがあります。

4.転落の危険性

 -2階で使用されるケースは子供の転落防止なども検討しなければなりません。手で押して開閉するので、勢い良く開けると弾みで上半身が外に出てしまいます。ですので、転落の恐れがある場合、窓の高さを上げるなどの対策も必要です。

5.手前に物があると開閉が難しい

 - 例えば洗濯機の上に縦すべり窓を配置した場合、手前の洗濯機が邪魔となりハンドルに手が届かなくなります。ですので、その場合はオペレーターハンドルが良いです。


 

■オペレーター式開閉方式

オペレーター式は、クランクハンドルを回すことでギアメカニズムを作動させ、窓を開閉する方式です。このメカニズムにより、少ない力で窓を操作できるようになっています。

■メリット

1. 操作の軽さ:

   - クランクハンドルを回すことで、少ない力で窓を開閉できます。特に高齢者や力の弱い人にとっては、非常に使いやすい仕様です。

2. 精密な開閉制御:

   - ギアメカニズムにより、窓の開閉を細かく調整することができます。微調整が可能で、風の強さや方向に応じて最適な開放度を設定できます。

3. 安全性:

   - 窓を部分的に開けた状態で固定できるため、防犯対策としても有効です。特に小さな子供がいる家庭では、誤って全開にすることがないため安心です。

4. デザインの一体感:

   - クランクハンドルが窓枠内に収納されるタイプもあり、インテリアとの調和を崩しません。見た目がすっきりとして、モダンなデザインに適しています。

■デメリット

1. コストの高さ:

   - ギアメカニズムを含む複雑な構造であるため、製造コストが高く、結果として購入価格も高めになります。

2. メンテナンスの複雑さ:

   - メカニズムが複雑であるため、故障した際の修理やメンテナンスが難しい場合があります。特にギア部分の磨耗や故障が起こりやすく、定期的な点検が必要です。

3. 設置スペースの制限:

   - クランクハンドルの操作にはある程度のスペースが必要です。狭い場所や、家具が窓の近くにある場合には操作が難しくなることがあります。

4. 気密性は低い:

   - オペレーターハンドルを回して障子を閉める特性上、障子と枠を引き寄せる事には限界がございます。ハンドル方式のグレモンハンドルと比べると気密性能に劣ります。例えば、樹脂サッシでは、オペレーター方式の縦すべり窓は品揃えございません。

■結論

ハンドル式とオペレーター式のどちらを選ぶかは、使用者のニーズやライフスタイル、予算に応じて決定することが重要です。シンプルさとコストパフォーマンスを重視するならばハンドル式が適しています。一方で、操作の軽さや精密な開閉制御を求める場合は、オペレーター式が最適です。

また、パッシブデザインにおいては、風通しの効率や採光の調整が重要な要素となります。縦すべり窓の開閉方式の選択は、これらの要素を最適化するためにも慎重に検討する必要があります。特に女性目線の使いやすさを考慮する場合、操作の軽さや安全性も重要なポイントとなるでしょう。

最終的には、実際に使用する人々の声を反映し、快適で機能的な住宅を実現することが求められます。そのためには、設計段階での詳細なヒアリングと、実際の使用シーンを想定したデザインが不可欠です。


いずれにせよ縦すべり窓の開閉方式は、気密・断熱性能に直結しますので、使い方含め専門家にご相談ください。当サービスでは日当たり・通風などの各種環境シミュレーションを実施しております。窓の専門家ですので、不安がありましたらご相談下さい。

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