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住宅の日当たりの基礎 吹抜けの窓について

  • 執筆者の写真: 建物ラボ
    建物ラボ
  • 2023年8月17日
  • 読了時間: 5分

更新日:2024年4月24日

今回は非常に問い合わせの多い項目である吹抜け窓について解説します。 住宅密集地で隣棟が近く1階LDKに日差しが入りにくく、明るさが取れない時の対策として非常に有効です。しかし、闇雲に吹抜けを採用すると温熱環境としては悪くなるので注意が必要です。 吹抜けとは、何階かにわたる空間を床面から天井まで一直線に空けることで、その建物内部に開放感と豊かな光を取り入れるための設計技法です。LDK(リビング、ダイニング、キッチン)に吹抜けを配置し、吹抜け窓を設置することは、明るさと温熱環境に対して多くのメリットとデメリットをもたらします。 まず、吹抜けと吹抜け窓のメリットについて考えてみましょう。 【メリット】 1. 明るさ: 吹抜け窓は自然光をたっぷりと取り入れることが可能で、一日を通して明るく開放的な空間を保つことができます。これは、日光浴を楽しむとともに、電気代の節約にもつながります。1階LDKの明るさを改善させたいが、隣棟が近く日差しが望めないケースでは、吹き抜けの高窓を活用することにより、隣棟の影の影響を受けにくくなります。 2. 空間の広がり感: 吹抜け設計は、部屋の壁が天井まで達していないため、視覚的な広がり感を生み出します。これは、特に狭い空間においては有効な手段で、広々としたリビングスペースを実現します。 3. 温熱環境: 高い位置に設置された窓は、建物の温度調節に役立ちます。夏には熱い空気を逃がすことが可能(※開く窓の場合のみ)で、暖かい空気は上に上りますので、吹き抜け窓を開けることにより重力換気が出来ます。暑い空気を排熱することが可能です。冬には太陽の光を取り入れて暖房を補うことができます。太陽の光による無料暖房の活用です。 【デメリット】 続きまして、吹抜け設計のデメリットです。 1. 温熱効率: 吹抜け窓は自然光をたくさん取り入れる一方で、冬季には暖房効率を下げる可能性があります。また、高い位置の窓は夏季にエアコン効率を下げる可能性もあります。こちらは単純な話ですが、LDK空間の体積が大きくなればなるほど、空間が大きいので冬温まりにくく・夏涼しくなりにくい空間になります。ですので、躯体の断熱性能が低いのにも関わらず、巨大な吹抜けを配置するとエアコンの利きの悪い温熱環境の悪い空間となってしまいます。 2. プライバシー: 吹抜け設計は開放感をもたらしますが、同時にプライバシーの問題を引き起こす可能性があります。周辺の建物の窓位置を考えないで吹抜けを配置すると、周辺建物の2階部分から一階の生活が丸見えになる可能性があります。 3. 2階間取り:吹抜けを設置すれば当然2階の床面積がその分減ります。吹抜けを設置する為に、2階の必要な部屋数を削るなんて本末転倒ですので、再検討が必要です。 【デメリット解消の為に】 1. 適切なLow-Eガラスの使用: 吹抜け窓がもたらす温熱効率の問題を緩和するためには、適切なLow-Eガラスの使用が重要です。例えば、窓ガラスは断熱ガラスなのか?遮熱ガラスなのか?検討が必要です。吹抜け窓の上の軒の出が大きいのに、無駄に遮熱ガラスにしてしまうと冬に日射取得熱を得られません。逆に、夏の日差しをカットする遮蔽物が無いのに、断熱ガラスを採用すると夏の日差しが暑く、夏の室温上昇に直結します。また、検討項目は吹き抜け窓の方位によって全く異なります。 2. プライバシーの確保: 吹抜けから見える部分に対するプライバシーの確保を検討する必要があります。例えば、吹抜けから見下ろさない配置や、高所用のスクリーンやブラインドの使用などが考えられます。また、これらの窓部材を活用することにより日射遮蔽の効果も得られます。 3. 自然換気の最適化: 吹抜けは自然換気を促進する効果がありますが、窓の位置や開口部の大きさ、窓の開閉の仕方などを考慮に入れて設計することで、効果的な温熱環境を実現することが可能です。例えば、高所用横すべり窓などを活用すれば、煙突効果により暑い空気を排熱可能です。サッシは割高になってしまいますが、電動サッシなども便利です。 以上のように、吹抜け設計は、LDKの明るさや開放感、温熱環境を大いに改善する可能性を持っていますが、同時にプライバシーや熱効率、音響環境といった問題もはらんでいます。これらの問題を適切に管理しながら、最大の利点を享受するためには、経験豊富な建築家や専門家と密にコミュニケーションを取りながら設計を進めることが重要です。 当方ではその為の事前シミュレーションを推奨しております。


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